2019/12/1 周防大島 中潮 水温16度
3年ぶりに出会った太刀魚の成魚でした。
釣り上げてしまうには惜しいと思うくらい、
海の中の太刀魚は、綺麗だと思います。
この日はイワシが多く、
イワシ玉の中に突進し、捕食しようとする太刀魚の姿を
見ることができました。
魚というよりは、太刀がその形のまま
意思を持っているかのような動きです。
それとも、鳥か、戦闘機のような・・・。
ビュン、ビュンと、上下左右に、自由自在です。
「泳いでいる」というより、「移動している」という表現の方が合うのかもしれません。
ギラギラとした動く刃、
とても迫力がありました。
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2019/12/5 周防大島 小潮 水温16度
水深9メートル。ライトを焚き海底に座り、
月明かりの光る水面を見上げていると、
太刀魚が、彗星のように現れました。
何体もやってきて、
流れ星のようでもありました。
私が10歳くらいの時だったか、家のそばのローソンの夜空越しに、ヘールボップ彗星を見つけたときのことを思い出しました。あれが、テレビでやっていた彗星・・・と、身近な人工物の向こう側の大自然に、圧倒されたのを覚えています。
その時の感覚と、似ています。
すぐそばに波止場があり、船があり、家があります。
その近く、深くもない、海の中・・・
宇宙のような光景が繰り広げられていることに、驚かされます。
彼らはよく、こちらを見ています。
至近距離で、ギョロッとした片目と、目が合うのです。
自然の中の太刀魚の体色は、
とても美しいと思います。
光の加減によって、ブリキ色に見えたり、
紫がかった色に、見えたりもします。
細やかに動くヒレと、
刀のように真っすぐな体躯は、
趣の違う美しさです。
目の前で静止している時の、
ゼンマイじかけのように精密に波打つ背びれを見ていると、
上等な機械を見ているような、気分にもなります。
宇宙船みたいだなぁ、と、思うこともあります。
人間には設計し得ないような、繊細さであると感じるからかもしれません。